療養費検討専門委員会の議論まとめ

第29回(2023年12月1日開催)

主な議題…
・あはき療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)について
≫配布資料(厚生労働省HP)

あはき療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)について

第27回・第28回はマイナ保険証によるオンライン資格確認の議論でしたので、第26回に続き、①「往療料の距離加算の廃止」、②「離島や中山間地等の地域に係る加算の創設」、③「往療料の見直し及び訪問施術料(仮)の創設」、④「料金包括化の推進」、⑤「同一日・同一建物への施術」の主に5つが議論されました。

詳しくは・・・組合員ひろばへ

 

第28回(2023年10月26日開催)

主な議題……
・あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師の施術所におけるオンライン資格確認について
配布資料(厚生労働省へ)

あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師、の施術所におけるオンライン資格確認について

≪ 資格確認をマイナ保険証対応とする保険局長通知等が了承 ≫
マイナ保険証におけるオンライン資格確認(オン資確認)のための保険局長通知に盛り込んだ内容案が提示され了承。
また、支払基金・国保中央会が共同で組織する実施機関と、利用者が締結する利用規約案も提示され了承されました。

≪ オン資確認義務化されない事由について ≫
厚生労働省は、オン資確認を導入できない「やむを得ない事由」を
・施術者が皆高齢
・休廃止の予定があること
という案を示しました。
これに対し、委員から「高齢の具体的な年齢を定めるべき」と意見がありました。
厚労省は令和6年4月以降の申請状況を見て詰めていくと回答し、現時点で具体的な年齢は決まりませんでした。

≪ オン資確認の機器は「業務用」が望ましい ≫
オン資確認で使用するマイナ保険証の読み取り端末について、往療の際は個人用スマホを使用することも想定されます。
これに対し、保険者側の委員からは個人情報保護の観点から、個人スマホは適切でない旨の意見が出ました。
厚労省は、医療安全ガイドラインに基づいて推奨している業務専用端末が望ましいとしましたが、個人用端末の管理上の留意点を今後示していくとしており、必ずしも個人用端末が使用できないわけではないことも示唆しました。

≪ 4.1万円の補助の対象は? ≫
「4.1万円までの実費」の補助金にも質問が及びました。
厚労省の回答は以下
・補助金の申請は1回でまとめて(複数回申請はできない可能性が高い)
・4.1万円以内であれば読み取り端末は複数台申請可能
・インターネット回線の導入は対象外。あくまで読み取り端末の購入実費

なお、補助金申請から支払いまでの期間や、補助金の期限は決まっていません。
また、対象機種などの具体的な情報は専用のポータルサイトで公表していく予定です。

>>施術所等向け総合ポータルサイト

 

第27回(2023年9月22日開催)

~主な議題~
・あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師の施術所におけるオンライン資格確認について
≫配布資料(厚生労働省HP)

あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師、の施術所におけるオンライン資格確認について

今回の検討専門委員会は、令和6年秋に廃止予定の紙(プラスチック)の被保険者証に替わる、マイナ保険証でのオンライン資格確認の導入について議論されました。

 

≪紙(プラスチック)の被保険者証からマイナ保険証へ≫

現在、療養費の支給基準では、令和6年秋に廃止予定の紙(プラスチック)の被保険者証を確認するルールとなっているため、令和6年4月までにマイナ保険証での資格確認(オンライン資格確認)をルール化するための通知が発出されます。
また、紙(プラスチック)の被保険者証が廃止される、令和6年10月にはマイナ保険証対応が義務化されます。

≪スケジュール案≫

厚生労働省から示された大まかなスケジュール案は以下。

令和5年10月中 厚生労働省内でポータルサイト開設
※オンライン資格確認の申請、機器登録、アプリダウンロード、補助金申請等を行うための窓口となる
11月 マイナ保険証の患者情報を読み取るための専用アプリがリリース
令和6年3月末までに オンライン資格確認に関する通知発出
4月 オンライン資格確認スタート
10月 オンライン資格確認義務化

委員からはスケジュールが厳しいという声は上がりましたが、オンライン資格確認の導入自体は了承されました。

≪今後の焦点

あはきのオンライン資格確認は、医療機関・薬局とは違い簡素なシステムです。
パソコンやスマホ、タブレット端末に専用アプリをインストールし、パソコンに接続したカードリーダー等から患者の保険資格情報を取得・確認することとなります。
このため、カードリーダーやスマホ、タブレット端末の購入が必要となり、専用アプリのインストールが必要です。

必要な機器の用意のため、負担軽減策として4万1千円の実費を条件に、購入費用を補助することとなっています。

「義務化」の例外については「やむを得ない事情がある場合」とされ、具体的なことはまだ発表されていません。
また視覚障がい者の対応や、往療の場合に電波状況が悪く資格確認ができないといったことも考えられ、検討事項となっています。

 

第26回(2023年7月14日開催)

~主な議題~
・あはき療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)について
≫配布資料(厚生労働省HP)

あはき療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)について

「あはき療養費の令和6年改定の基本的な考え方(案)について」と題して、前回の料金改定時に積み残した課題を検討していくこととなりました。
積み残されているのは、①「往療料の距離加算の廃止」、②「離島や中山間地等の地域に係る加算の創設」、③「往療料の見直し及び訪問施術料(仮)の創設」、④「料金包括化の推進」、⑤「同一日・同一建物への施術」の主に5つ。これらが今後議論されていくこととなります。
厚生労働省はこれら全てを来年の料金改定までに決定したいとしています。
この中で、②「離島や中山間地等の地域に係る加算の創設」は、現時点では離島や中山間地に施術所がある場合の加算創設が検討されています。施術者側の委員は本来議論していた「離島や中山間地への往療料を加算すべき」と主張していますが、①②③⑤はこの他に大きな反対意見はない状況です。
④「料金包括化の推進」は、あん摩マッサージと変形徒手矯正術について、現在の「〇部位=□円」という算定ではなく、「マッサージや変形徒手矯正術を行った=△円」と算定するように変更するものです。これには保険者側から反対の声が上がっており、実際に来年の料金改定までに決まるかは不透明です。

なお、今のところオンライン請求についての議論は予定されていません。

往療料の距離加算の廃止
あはきは往療料の割合が高く、特にマッサージ療養費は施術料よりも往療料の支給額が多くなっているのが現状です。 また距離加算については医科では平成4年に廃止、訪問看護ではそもそも設けられていません。 医科や訪問看護の現状や、現在の交通事情を踏まえて、過去の改定で距離加算が4kmまでと4km超のみになり、さらに距離加算が減額されています。 往療料の割合は低下していますが、それでも高い状況にあるため距離加算自体の廃止が検討されています。
離島や中山間地等の地域に係る加算の創設
往療料の距離加算が廃止されることで、離島や中山間地等の患者が必要な施術を受けられなくなる可能性があることから議論されていました。
議論の末、現在は離島や中山間地等の地域に施術所がある場合に施術料加算を創設することが検討されています。
往療料の見直し及び訪問施術料(仮)の創設
あはきの往療料には、医科の往診料では算定できない「定期的・計画的に行う場合」という要件がありました。 往療料の見直しに際して、緊急の場合の「往療料」と定期的・計画的な場合(2回目以降)の「訪問料」に整理することが検討されています。 またそのうえで、施術料と訪問料を包括した新しい料金体系「訪問施術料」を導入することも検討されています。
料金包括化の推進
マッサージ、変形徒手矯正術の施術料は、「施術部位数に応じた報酬」となっており、請求できる最大の部位数を施術するような可能性があります。 また、患部改善のため非麻痺側等の患部以外への施術も必要となる場合があります。 このようなことから、料金を包括化する提案が施術者から挙げられ議論されています。
同一日・同一建物への施術
現在、同一日・同一建物で施術を行った場合の往療料は1人分のみ算定でき、その他の患者は算定できません。 訪問施術料を導入した際には訪問診療や訪問看護を例に、2人目からも訪問施術料を算定できるようにすること。 ただし訪問施術にあたらない往療の場合、2人目以降も施術料のみの算定とすることが検討されています。

第25回(2022年5月6日開催)

~主な議題~
・令和4年改定の基本的な考え方(案)について
配布資料(厚生労働省HP)

令和4年改定の基本的な考え方(案)について

<主な厚生労働省案の一部内容>
〇改定率 +0.13%
1.施術料、初検料、施術報告書交付料の引き上げ
●マッサージ
・温罨法をマッサージと併施した場合 1回につき 125円加算(現行110円加算)
・温罨法と併せて電気光線器具を使用した場合 1回につき 160円加算(現行150円加算)
・施術報告書交付料 480円(現行:460円)
●はり・きゅう
・初検料 1術(はり又はきゅうのいずれか一方)の場合 1,780円(現行:1,770円)
・初検料 2術(はり、きゅう併用)の場合 1,860円(現行:1,850円)
・電療料 電気針、電気温灸器または電気光線器具を使用した場合
1回につき 34円加算(現行:30円加算)
・施術報告書交付料 480円(現行:460円)
※一部負担金の計算方法について、再度周知する
2.支給申請書の記入方法の明確化
支給申請書に施術者等が代理記入する場合の方法について、手書きでもパソコン等での記入でも可能であることを示す事務連絡を発出する。
3.以下は令和6年改定に向けて検討
●往療料の距離加算の廃止
●離島や中山間地等の地域に係る加算の創設
●同一日・同一建物での施術の場合の料金の在り方
●料金包括化の推進

6月の料金改定に向けて具体的な金額が示されるとともに、これまで議論されてきた往療料の距離加算の廃止、離島や中山間地等の地域に係る加算の創設、料金包括化の推進については、令和6年改定に向けてさらに検討を進めることとなりました。

さらに検討を進めることになった内容について

往療料の距離加算の廃止

特にマッサージ療養費において、施術料よりも多くなっている往療料について
過去の料金改定でも見直しが進められてきました。
今回、距離加算の廃止に伴う収入減の対策として、往療料の離島や中山間地等の地域に係る加算の創設が併せて議論されてきました。
ここまででデータや事例などを交えた議論が不足していることから、離島や中山間地等の地域に係る
加算の創設が見送られたことで、往療料の距離加算の廃止も見送られました。

離島や中山間地等の地域に係る加算の創設

前回までの議論では、離島や中山間地等の地域に係る加算の創設が往療料の加算であれば
そもそも往療料の距離加算の廃止と矛盾するのではないか、との指摘により往療料ではない加算などの議論もされました。
結果的に議論の不足により、今回の改定からは見送られました。

料金包括化の推進

もともと施術者代表の希望で議論がスタートしたものの
保険者代表から唐突な議論で時期尚早となり、今回の改定からは見送られました。

第24回(2022年3月24日開催)

~主な議題~
・令和4年改定の基本的な考え方(案)について
配布資料(厚生労働省HP)

令和4年改定の基本的な考え方(案)について

<主な厚生労働省案の一部内容>

1.往療料の距離加算の廃止
2.離島や中山間地等の地域に係る加算の創設
・往療料への加算ではなく、施術料への加算として対象地域は
診療報酬における「医療資源の少ない地域」に施術所がある場合とする。
3.料金包括化の推進
4.その他の見直し
・支給申請書に施術者等が代理記入する場合の「代理記入」の方法はパソコン等でも可能とする。

6月の料金改定に向けて、具体的な金額の議論などは継続審議となっています。

離島や中山間地等の地域に係る加算の創設

前回の議論では、往療料の加算として介護保険の特別地域訪問介護加算等をあげていたものの
保険者からの「往療料の加算廃止に矛盾する」との意見がありました。
これを受けて厚生労働省は往療料への加算ではなく施術料の加算として
対象地域を診療報酬における「医療資源の少ない地域」に施術所がある場合を提案。
これに対して施術者委員は、往療料の加算として前回出された厚生労働省提案の再考を求めました。

料金包括化の推進

マッサージ及び変形徒手矯正術についての料金包括化については、前回と同様に施術者委員は賛成、
保険者委員は議論のためのエビデンス不足から反対しています。

その他の見直し

厚生労働省は、支給申請書に施術者等が代理記入し当該患者から押印を受ける場合、この「代理記入」の方法は、手書きでも、パソコン等での記入でも可能であることを示す事務連絡を発出する方針を示しました。

 

第23回(2022年2月22日開催)

~主な議題~
・近年のあはき療養費の料金改定について(報告のみ・配布資料参照)
・あはき療養費の現状について(報告のみ・配布資料参照)
・令和4年改定の基本的な考え方(案)
について議論が進められています。
配布資料(厚生労働省HP)

令和4年改定の基本的な考え方について(案)

<主な厚生労働省案の一部内容>

1.往療料の距離加算の廃止
・往療料の距離加算をなくし、往療料を1本化にする
2.往療料の離島や中山間地等の地域に係る加算の創設
・距離加算の廃止の影響に配慮し、離島や中山間地等への往療料を加算する
3.料金包括化の推進
・マッサージ及び変形徒手矯正術の施術料を包括化する

これらの内容は、施術料よりも往療料が多いというマッサージの現状を見直すために
かねてより議論されていたものです。

往療料の距離加算の廃止

距離加算は医科では平成4年に廃止、訪問看護ではそもそも設けられていません。
また、現在の交通事情や訪問で行うものの報酬を踏まえて
料金改定の度に段階的に見直されてきました。

現行 見直し案
往療料 2,300円、4㎞超の場合 2,550円 往療料 ●●円

施術者側委員、保険者側委員とも事務局案に概ね賛同。

往療料の離島や中山間地等の地域に係る加算の創設

かねてより、距離加算を廃止した際などに離島や中山間地等への往療料を加算することが
検討されていました。

現行 見直し案
往療料 2,300円、4㎞超の場合 2,550円 往療料 ●●円
特別地域加算 ●●円

施術者側委員は概ね賛同。
保険者側委員からは以下の意見がありました。
・施術者と患者の距離が離れている場合等に限定すべき。
・往療料の加算では「①往療料の距離加算廃止」と矛盾するので、往療料ではなく別の技術料への加算にすべき。

料金包括化の推進

  • マッサージ、変形徒手矯正術は施術部位数に応じた報酬が
    施術部位数を多くする方向に影響している可能性があること。
  • 患部改善のため、非麻痺側等の幹部以外への施術も必要となる場合があること。

以上から、療養費の適正化、患者負担が変わらない、患部以外にも施術が可能となる
施術部位数によって料金が変わらない「包括料金」(いわゆるマルメ)が提案されました。

現行 見直し案
(1) マッサージを行った場合1局所につき350円(最大で5部位)
※ 局所の単位(頭から尾頭までの躯幹、右上肢、左上肢、右下肢、左下肢)
(1) マッサージを行った場合1回につき●●円
(2) 温罨法を(1)と併施した場合1回につき110円加算 (2) 温罨法を(1)と併施した場合1回につき●●円加算
(3) 変形徒手矯正術を(1)と併施した場合1肢につき450円加算(最大で4肢)
※ 対象は6大関節: 左右上肢(肩、肘、手関節)、左右下肢(股、膝、足関節)
(3) 変形徒手矯正術を(1)と併施した場合1回につき●●円加算

施術者側委員は概ね賛同していますが、保険者側委員が強く反対しているため、6月の料金改定に向けて次回以降も議論されていく予定です。

その他

現在行っている施術状況の分析や、検討専門委員会での議論を経たうえで引き続き検討としています。

  • 同一日・同一建物での施術の場合の料金のあり方
  • 往療内訳表のあり方
  • 往療料の見直しや料金包括化の推進を行ったうえで、訪問施術制度(施術料と往療料の包括化)の導入